腱板損傷、上腕二頭筋長頭腱炎について

腱板損傷・保存療法ガイド|Genki鍼灸整骨院グループ
⚠️ 重要:このページについて

本ページは、腱板損傷・上腕二頭筋長頭腱炎の一般向け教育資料です。医学的診断や画像所見の判断は、医療機関(整形外科医)での評価が必要な場合があります。強い外傷後や急激な症状悪化時は、必ず医師の診察を受けてください。

腱板損傷・長頭腱炎の保存療法

痛みの理由がわかれば、
不安は行動に変わる。

肩の痛みはつらいですが、先が見えない不安はもっとつらい。
状態を理解し、治し方を知ることが大きな一歩です。

医学会推奨の保存療法で多くの患者さんが改善しています
理学療法士による専門的な指導で納得して治療開始
年間 44,000人 の来院実績がある信頼のクリニック
理学療法士 吉村直心
リオオリンピック選手団トレーナー
36%
加齢と腱板
80代では約36%の方が腱板損傷を経験。加齢とともに増加します。
参考文献
130°
医学会ガイドライン
日常生活に必要な肩の挙上角度。その他、着替えや髪の毛を洗う動作など。
参考文献
84%
運動療法
医学会推奨の運動療法で、約84%の患者さんが機能改善を実感。
参考文献

最初に知ってほしい3つのこと

腱板損傷は「治らない病気」ではありません

医学的根拠のある保存療法で、多くの患者さんが仕事や生活を取り戻しています。
状態の把握が第一歩です。痛みの原因がわかると、不安が行動に変わります。
早期対応が改善率を上げます。症状が軽いうちからの運動療法が効果的です。

痛みの場所と基本

💧 前側が痛い
肩の前面が痛い場合、上腕二頭筋長頭腱炎が疑われます。荷物を持つときや、腕を上げるときに痛みが強くなることがあります。
☀️ 外側・上面が痛い
肩の外側や上部が痛む場合、棘上筋(きょくじょうきん)の損傷が考えられます。服を脱ぐ動作や髪を洗うときに強い痛みを感じることが多いです。
🌙 夜間痛がある
寝ているときに痛みで目が覚める場合、炎症が強い可能性があります。枕の高さを変えるなど、寝姿勢の工夫も大切です。
💪 力が入らない
腕に力が入らない、または物を持ちにくい場合、神経症状や損傷の進行が考えられます。医師の診察が必要です。

肩関節の基本構造を知る

肩の仕組みを理解することが、痛みの原因を知る第一歩です。

肩関節解剖図
肩関節は複数の骨からなる「複合関節」です

肩は「チームプレイ」で動く

肩関節は、肩甲骨(けんこうこつ)、上腕骨(じょうわんこつ)、鎖骨(さこつ)、そして胸骨(きょうこつ)の4つの骨からなる「複合関節」です。これらが協力して、腕を様々な方向に動かすことができます。

関節には2つの役割がある

肩の関節には2つの種類があります。

  • 解剖学的関節:骨と骨が軟骨でつながっているところ。肩甲骨と上腕骨の間など。
  • 機能的関節:筋肉や靭帯が協力して作られる「動く単位」。これが複数組み合わさることで、肩を自由に動かせます。

「力のカップル」で腕は上がる

腕を上げるときは、複数の筋肉が協力します。これを「力のカップル(Force Couple)」と呼びます。外側の大きな筋肉が力を生み出し、内側の小さな筋肉が安定性を保つ。この2つが揃うことで、初めてスムーズな動きが実現するのです。

🔴 外側の筋肉(力を生み出す)
三角筋(肩を持ち上げる)
上腕二頭筋(腕を曲げる)
大きな力を発揮して、腕を動かします。
🔵 内側の筋肉(安定させる)
棘上筋・棘下筋・小円筋(ローテーター)
肩甲下筋(インナー)
小さな力で関節を安定させます。
⚡ ポイント:内側の筋肉が弱ると、外側の筋肉が無駄に力を使い、痛みが増します。これが「腱板損傷」の悪循環です。

あなたの肩をチェック

以下の項目でいくつ当てはまるかを確認してください。数が多いほど、腱板に負荷がかかっている可能性があります。

⚠️ 注意:猫背・巻き肩・肩甲骨の不安定

猫背・巻き肩・肩甲骨の不安定は、肩関節が正しくない道で動くことにつながり、肩の一部分の組織の負荷を増やします。

腱板損傷の原因

腱板損傷は「突然」起こるのではなく、多くの場合、長年の負荷が蓄積した結果です。

繰り返しのオーバーヘッド負荷 → 手を挙げる動作が多い

野球の投球、テニスのサーブ、建設作業など、手を挙げる動作が多い仕事やスポーツを続けることで、腱板に徐々に負荷がかかります。特に正しい動きができていないと、この負荷はさらに増します。

加齢による変化

年を重ねるにつれ、腱板も含めた筋肉や腱の質が変わります。Yamamoto 2011の研究によれば、年代とともに腱板損傷の有病率が上昇し、約 1/3 の70代以上 の方に腱板損傷が見られます。

損傷後の進行

損傷が生じた後、何も対策しないと、損傷は平均して 約 2mm/年 のペースで拡大 することが報告されています。早期の治療開始が、損傷の進行を防ぐ鍵となります。

痛みの原因:腱板損傷の経過

段階1:微細な損傷
繰り返しの負荷により、腱板内に小さな傷が生じます。この段階ではほぼ症状がなく、気づきにくいです。
段階2:炎症と進行
傷が広がり、炎症が起こります。この段階で初めて「痛み」として自覚し始めます。
段階3:部分的な断裂
腱板の一部が断裂します。痛みが強くなり、力が入りにくくなります。
段階4:完全断裂
腱板が完全に断裂します。腕が上がらない、物が持てないなどの機能低下が著しくなります。
腱板損傷の分類
腱板損傷の進行段階と分類

痛みの原因:上腕二頭筋長頭腱炎の経過

段階1:使い過ぎ
重い荷物を繰り返し持つなど、上腕二頭筋に過度な負荷がかかります。
段階2:炎症の始まり
肩の前面に違和感や軽い痛みを感じ始めます。
段階3:強い炎症
肩の前面が明らかに痛くなります。特に腕を持ち上げたり、力を入れるときに痛みが強まります。
段階4:慢性化
長引く痛みにより、肩全体の動きが制限され、他の筋肉にも負荷がかかります。

悪い姿勢・動きが痛みを増やす

腱板損傷がある場合、悪い姿勢や不適切な動きは、痛みを増幅させます。

猫背姿勢の影響

猫背になると、肩甲骨が後ろに引かれ、肩が前に丸まります。この状態では、腱板が圧迫されやすくなり、痛みが増します。正しい姿勢を保つことが、最初の一歩です。

肩甲骨の動きが悪い

腕を上げるときは、上腕骨だけでなく、肩甲骨も同時に動きます。肩甲骨が固くて動きが悪いと、上腕骨に余計な負荷がかかり、腱板への圧迫が強まります。

胸郭の硬さ

胸や背中の筋肉が硬いと、肩甲骨が本来の位置を保ちにくくなります。胸を開き、背中をリラックスさせることが大切です。

💡 ポイント:姿勢と動きの改善だけで、痛みが大きく減ることがあります。これが保存療法の基本です。

損傷の「大きさ」と「深さ」を知る

腱板損傷には様々なタイプがあります。同じ「腱板損傷」でも、症状や治療方針は異なります。

腱板損傷の深さ
断裂の深さ
表面的な傷か、深い断裂かで、治療のアプローチが変わります。
腱板損傷の大きさ
断裂の大きさ
Cofield分類:小さな傷ほど保存療法の成功率が高くなります。

🎯 重要:症状がなくても損傷がある場合

Minagawa 2013の研究によれば、腱板損傷には症状がない場合(無症候性)が非常に多いことが分かっています。症状がない損傷は、症状がある損傷の約2倍存在するのです。

損傷の大きさと痛みの関係

損傷が小さくても症状が強い場合もあれば、大きな損傷でも痛みが少ない場合もあります。重要なのは、「損傷の大きさ」よりも「どれだけ負荷がかかっているか」です。この考え方が、保存療法の成功につながります。

損傷のタイプと機能低下の関係

TypeA(棘上筋、肩甲下筋上部断裂)TypeD(棘上筋、棘下筋断裂)であれば、腕を前に上げる動き(前方挙上)はほとんど問題ありません。

一方、TypeB(棘上筋、肩甲下筋断裂)TypeC(棘上筋、棘下筋、肩甲下筋上部断裂)の場合は、自動で腕を上げられる角度が120°以下に制限されます。このため、腕が上がらないという症状が現れやすいのです。

早期保存療法が改善率を高める

損傷が発見された直後から、正しい運動療法を開始することで、改善率が大きく上がります。「とりあえず安静」ではなく、「適切に、段階的に肩を動かす」ことが大切です。

腱板損傷のタイプと機能低下
損傷のタイプと機能低下の関係

医学会推奨の保存療法

多くの腱板損傷は、手術をしなくても改善します。医学会の推奨する保存療法について、段階別に説明します。

治療の3段階

第1段階:炎症の緩和(初期1~2週間)
急性期は、炎症を抑えることが優先です。
  • 冷却・温熱療法
  • 必要に応じて薬物療法
  • 基本的なストレッチ
第2段階:可動域の回復(1~6週間)
炎症が落ち着いたら、徐々に動きを取り戻します。
  • 段階的なストレッチ
  • アイソメトリック運動(等尺性運動)
  • 肩甲骨の安定化運動
第3段階:筋力と機能の改善(6週間以降)
本格的な筋力トレーニングと日常生活への復帰。
  • 抵抗運動療法
  • 動的安定化運動
  • スポーツへの段階的復帰

運動療法が改善率を高める

医学的根拠の最も強い治療は「運動療法」です。適切に設計された運動プログラムにより、約 84% の患者さんが機能改善を実感しています。

ドロップアームサイン
ドロップアームサイン:腕を上げたまま保持できない場合は、医師の診察が必要です

Genki鍼灸整骨院グループの治療方針

1. 正確な評価

まず、あなたの肩の状態を正確に把握します。どの筋肉が損傷しているのか、どれほどの機能低下があるのかを丁寧に評価します。

2. 段階的な治療計画

痛みのレベル、損傷の程度に合わせて、個別の治療計画を立てます。焦らず、着実に改善を目指します。

3. 患者教育と自主運動

治療の効果を最大化するには、ご自身での取り組みが欠かせません。正しい運動法を丁寧に指導し、自信を持って実践できるようサポートします。

4. 医療機関との連携

必要に応じて、整形外科医と連携。画像診断が必要な場合も、スムーズに対応できる体制が整っています。

🎯 基本方針:適切に、段階的に肩を動かす。動きを通じて、痛みを管理し、機能を取り戻します。

患者さんの喜びの声と治療解説

肩の痛み(腱板損傷)男性
「常時痛かった肩の痛みがほとんどなくなった!」
肩の痛みが改善した患者の口コミと実際の治療の動画
腱板損傷の保存療法について
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痛みの理由がわかれば、不安は行動に変わります。
私たちは、あなたの肩の痛みを理解し、一緒に改善を目指します。

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よくある質問

腱板損傷は手術が必要ですか?
ほとんどの腱板損傷は、適切な保存療法で改善します。手術が必要なケースは限定的です。ただし、大きな損傷や脱力が著しい場合は、医師に相談してください。
保存療法でどのくらいで改善しますか?
個人差がありますが、多くの患者さんは 3~6 ヶ月で大きな改善を実感します。ただし、完全な復帰には 6~12 ヶ月かかる場合もあります。
痛みがあるときは運動を避けるべき?
いいえ。むしろ、適切な運動が改善を加速させます。ただし、急激な痛みが出ない範囲での運動が重要です。「適切に、段階的に肩を動かす」ことが基本です。
再発を防ぐには?
正しい姿勢、肩甲骨の安定性、そして継続的な軽い運動が重要です。改善後も、予防的な運動を週 2~3 回続けることをお勧めします。
スポーツへの復帰はいつから?
段階的に復帰することが大切です。痛みがなくなったからといって、いきなり前のレベルに戻すと再発の危険性があります。専門家の指導のもと、段階的に負荷を上げていくことをお勧めします。

医学的根拠・参考文献

Minagawa H, et al. (2013). "Prevalence of symptomatic and asymptomatic rotator cuff tears in the general population: From mass-screening in one village." Journal of Orthopaedics. PubMed
Yamamoto A, et al. (2010). "Prevalence and risk factors of a rotator cuff tear in the general population." Journal of Shoulder and Elbow Surgery. PubMed
Exercise Therapy in the Non-Operative Treatment of Full-Thickness Rotator Cuff Tears: A Systematic Review. PMC6044593. PubMed Central
American Academy of Orthopaedic Surgeons (AAOS). "Management of Rotator Cuff Injuries." AAOS Guideline PDF
Shoulder and Elbow Range of Motion for the Performance of Activities of Daily Living: A Systematic Review. (2018). PMC4690598. PubMed Central
Progression of Rotator Cuff Tears: Risk Factors and Natural History. Journal of Shoulder and Elbow Surgery. PubMed
Terasawa R, et al. (2012). "MRI assessment of the subscapularis tendon." Skeletal Radiology. PubMed
Shoulder Biomechanics and the Rotator Cuff. PMC8559559. PubMed Central
OrthoInfo by AAOS. "Rotator Cuff Tears." OrthoInfo

本ページ監修:理学療法士 吉村直心(リオオリンピック日本選手団トレーナー)

最終更新:2026年5月1日

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