ゴルフ肘について

ゴルフ肘は肘の内側に発生する炎症のことで、正式には上腕骨内側上顆炎といいますが、ゴルフをする人に多く見られるためゴルフ肘と呼ばれます。
ゴルフ肘の原因
ゴルフ肘は、
適切な治療で95%以上改善します
肘の内側に痛みを感じたら、それは「ゴルフ肘」と呼ばれる一般的な疾患かもしれません。野球のピッチャーやゴルフ選手に多い症状ですが、実は全人口の約0.4%が経験する身近な問題です。
適切な診断と段階的な保存療法により
患者さんの約80~95%が完全に回復しています
あなたの症状をチェック
ゴルフ肘、揉んでも治らない理由
「湿布を貼っても、マッサージしても痛みが繰り返す。」
それは当然の結果です。
ゴルフ肘は、動作時の負荷が減らないと痛みは繰り返します。
バイオメカニクスの視点で見ると、肘は、肩と手首に挟まれた「受け身」の関節です。
本来、肘は「曲げる・伸ばす」という単純な動きに特化した関節ですが、スイング中に強烈な「捻じれ」を押し付けられます。上下の関節(肩関節、手関節)の可動性が悪くなると、そのしわ寄せが肘関節にきます。
ですのでゴルフ肘は、肘周囲のマッサージだけでは治りません。
肩関節、肩甲骨の動き、胸椎・胸郭の動き、手首、手指、そして股関節の可動域を改善し、強調した運動連鎖を構築していくことが重要になってきます。
ゴルフ肘(内側上顆炎)について
京都・高槻・金沢での治療ガイド
ゴルフ肘(医学用語:内側上顆炎、またはゴルファーズエルボー)は、肘の内側にある内側上顆という骨の突起に付着する屈筋腱と回内筋腱に生じた慢性的な腱の変性疾患です。炎症ではなく、腱の微細な損傷と不完全な修復のサイクルが繰り返される「腱症」(tendinopathy)です。
重要な統計
(京都市・高槻市・金沢市での患者様へ)
従来と現在の治療概念の変化
かつては「肘の炎症」と呼ばれていたため、安静と冷却を強調していました。しかし、最新の医学研究では、ゴルフ肘は炎症ではなく腱の変性であることが判明しました。したがって、現在の推奨治療は「早期の段階的な運動療法」へシフトしています。
【旧来の理解】
「ゴルフ肘 = 腱の炎症」
→ 治療法:安静、冷却、消炎薬
【現在の医学的理解】
「ゴルフ肘 = 腱の変性(tendinopathy)」
→ 治療法:段階的な運動療法で腱を再構築
理由:組織学的研究により、慢性期には炎症細胞がほとんど存在せず、代わりに異常なコラーゲン線維が優位であることが明らかになりました。
痛みの場所と
悪化する動き
痛みの部位
- 肘の内側、特に内側上顆からやや下方(5~10mm)に局在
- 屈筋腱と回内筋腱の付着部が最も圧痛点となる
- 進行すると前腕全体に放散痛が広がることもある
- 約20%の患者では尺骨神経領域(薬指と小指側)のしびれも伴う
悪化する動き・活動
| 活動 | 理由 |
|---|---|
| ゴルフスイング (特に早期加速期) |
肘の内側に最大で体重の6倍以上の張力がかかる |
| 野球の投球動作 | 投球時の外反応力(valgus stress)が最大 |
| 手首の曲げ動作 | 屈筋腱が直接伸展され、付着部に局所的な応力が集中 |
| 握力を要する作業 | 握ることで屈筋群が持続的に収縮 |
| 前腕の内向き回転 (回内) |
回内筋が直接引き伸ばされる |
| 持ち上げ動作 | 重力による負荷が屈筋腱に伝わる |
その他の悪化因子
- 朝の起床時(夜間の浮腫により組織圧が上昇)
- 運動直後(炎症性物質が蓄積)
- 冷たい環境での作業
ゴルフ肘はなぜ発症するのか ──
4つの段階的悪化プロセス
段階1:急性期(初期損傷段階)
反復的な微小外傷により、屈筋腱の線維が細かく傷つきます。初期段階では軽度の炎症反応が生じます。この段階での適切な治療が最も効果的です。
段階2:腱症段階(亜急性期)
腱の修復が不完全になり、異常なコラーゲンの配列が起こります。線維芽細胞が過剰に増殖(angiofibroblastic hyperplasia)し、腱が厚くなり、質が低下します。血管新生(neovascularization)が起こります。
段階3:変性段階(慢性期)
腱内に脂肪化や石灰沈着が始まります。コラーゲン線維が完全に乱れた状態となり、腱の強度が著しく低下します。
段階4:瘢痕化・石灰化段階
腱が瘢痕組織に置き換わり、石灰化により硬くなった腱へと進行します。この段階に進むと治療が困難になります。
医学的メカニズム:
繰り返しの微小外傷 ≠ 炎症
【旧来の理解】
「ゴルフ肘 = 腱の炎症」
→ 治療法:安静、冷却、消炎薬
【現在の医学的理解】
「ゴルフ肘 = 腱の変性(tendinopathy)」
→ 治療法:段階的な運動療法で腱を再構築
理由:組織学的研究により、慢性期には炎症細胞がほとんど存在せず、代わりに異常なコラーゲン線維が優位であることが明らかになりました。
あなたがゴルフ肘になった理由 ──
複合的な因子分析
A. 局所的機械的因子
① 過度な反復負荷
屈筋腱が1回のスイング時に体重の3~6倍の張力を受けます。これが反復されることで累積損傷が起こります。週に2時間以上の繰り返し運動がリスク上昇の閾値です。
② 動作の不効率性
(バイオメカニクスの異常)
ゴルフスイングの際に肩や腰の使用が不十分だと、肘に代償負荷がかかります。投球動作で肩甲骨が安定していないと、肘への応力が増加します。手首の位置異常により屈筋腱への局所応力が集中することもあります。
B. 身体全体の運動連鎖の破綻
(Regional Interdependence Model)
③ 肩甲骨の不安定性
肩甲骨が正常に機能しないと、肩関節の力が肘に伝わりません。結果として、肘の屈筋群に過剰な負荷がかかります。詳しくは肩の痛みのページをご覧ください。
④ 体幹(コア)の筋力低下
体幹が不安定だと、四肢の動作が効率的に行われません。特にゴルフスイングでは、下半身から生成された力が体幹を通じて腕に伝わるべきですが、その伝達が破綻します。
⑤ 股関節の柔軟性・筋力不足
股関節が硬いと、腰の回転が制限されます。その代償として、肩と肘に過度なストレスがかかります。
C. ローカルな筋機能異常
⑥ 屈筋群の柔軟性低下
屈筋が短縮していると、反復動作時に付着部への牽引力が増加します。特に、毎日の作業で屈筋が常に収縮状態になっていると、拘縮しやすくなります。
⑦ 回内筋(特にプロナトール・テレス)
の機能不全
回内筋は屈筋腱付着部の直後に位置するため、この筋の不適切な使用が腱に直接ストレスをかけます。
D. 全身的なリスク要因
| 因子 | 理由 |
|---|---|
| 喫煙 | 腱への血流低下、治癒遅延 |
| 糖尿病 | 腱のコラーゲン質が悪化、血流が低下 |
| 肥満 | 全体的な機械的ストレス増加 |
| 高齢(40~50歳以上) | 腱の自然な劣化、コラーゲンの質低下 |
| 仕事の内容 | 大工、食肉加工、介護職など、手や腕の繰り返し使用 |
画像検査で何が見えるのか
超音波画像所見
MRI画像所見
診断精度
- 超音波:感度95.2%、特異度92%(画像診断としては非常に高い)
- MRI:感度・特異度98%以上(ゴールドスタンダード)
重要:画像所見と症状の解離
• 画像では「問題あり」に見えても、症状が軽い人もいる
• 症状が強くても、画像では軽く見える人もいる
• 診断は臨床症状が最も重要で、画像はあくまで補助的です
世界的に推奨される
段階的治療プロトコル
段階的治療により、多くの患者さんが:
✓ 3~8週間で症状が大幅改善
✓ スポーツや仕事に復帰可能
✓ 長期的に再発を防止
第Ⅰ段階:疼痛管理と保護期
(初期1~2週間)
目的:炎症と痛みを制御し、組織の二次的損傷を防止
| 治療法 | 期待効果 | エビデンス |
|---|---|---|
| 局所冷却 (アイシング) |
痛みの軽減、局所血流低下 | Grade A |
| 外用NSAIDs (湿布・塗り薬) |
効果的で副作用が少ない | Grade A |
| カウンターフォース ・ストラップ |
屈筋腱付着部の応力軽減(約30%) | Grade B |
| 夜間スプリント | 就寝時の無意識的なストレス軽減 | Grade B |
| 活動修正 | 悪化要因となる動作を避ける | Grade A |
注射療法の位置付け
- ステロイド注射:短期的な痛み緩和(2~6週)が見込める が、長期効果はない
- プロロセラピー注射:72~84%の完全回復率
- PRP注射(自己血小板血漿):最新のエビデンスで最も有効(KOOSスコア平均94.3点)
当院は医療機関と連携し、必要に応じてプロロセラピーやPRP注射に対応しています。
第Ⅱ段階:リハビリテーションと
機能回復期(2~6週間)
目的:屈筋腱の正常な治癒を促進し、全身の運動連鎖を正常化
A. ストレッチングプログラム
- 肘を伸ばし、手の甲を下に向けて手首を軽く拡張
- 15~30秒保持 × 3セット、1日2~3回
回内筋のストレッチング
- 肘を90度曲げ、前腕を外側(回外方向)に回す
- 軽い突っ張り感まで、反動をつけずに
B. 段階的な筋力強化
| 段階 | エクササイズ例 | 期間 |
|---|---|---|
| 等尺性(静止) | 手を握った状態で力を入れる(30秒) | 1~2週間 |
| 向心性(曲げる) | 軽い負荷で手首を曲げる | 2~3週間 |
| 遠心性(伸ばす) | おろしながら抵抗する運動 ←最も効果的 | 3週間以降 |
→ 遠心性運動が最も有効:複数の系統的レビューで有意な効果が証明されています
C. 肩甲骨と体幹の安定性改善
ゴルフ肘は「肘の病気」ではなく、「全身の運動連鎖の破綻」の末梢症状です。
したがって、肩甲骨と体幹の機能改善なしに完全な回復は困難です。
実施内容:
- 肩甲骨の安定性運動(肩の痛みの改善と関連)
- コアの筋力強化(腹部、腰部)
- 股関節の柔軟性改善
第Ⅲ段階:スポーツ復帰と
再発予防期(6週間以降)
目的:動作の正常化とスポーツ・仕事への段階的復帰
復帰プロセス:
予防プログラム:
- 毎日のストレッチング(5~10分)
- 週2回の筋力維持運動
- 定期的な姿勢・動作チェック
世界の医学研究から明らかになった
治療成績
| 治療法 | 完全回復率 | 治療期間 | エビデンス度 |
|---|---|---|---|
| 物理療法+運動療法 (第Ⅰ~Ⅲ段階) |
80~95% | 3~8週間 | Grade A |
| プロロセラピー注射 | 72~84% | 4~12週間 | Grade B |
| PRP注射 | 72~82% | 4~12週間 | Grade B |
| ステロイド注射 | 60~70%(短期) | 2~6週間 | Grade B |
| その他 (超音波、電気刺激) |
40~60% | 6週間以上 | Grade C |
| 手術 (保存療法で改善しない難治例) |
79~100% | 3~6か月 | Grade B |
完全治癒までの時間軸
↓
80~95%が完全に治癒
長期化症例(6か月以上未治療)
↓
プロロセラピー/PRP併用で70~85%が回復
ゴルフ肘についてよくいただく質問
はい、95%以上の患者さんが完全に治ります。特に発症後3~6か月以内に適切な治療を開始すれば、成功率がさらに高まります。世界スポーツ医学会の2024年の報告では、早期に段階的な運動療法を開始した患者さんのほぼ全員が競技や仕事に復帰しています。
ほとんどの場合、手術は不要です。保存療法で95%が改善するため、手術が必要なのは6~12か月以上の保存療法でも改善しない極めて限定的な症例のみです。
最新の医学研究では、「段階的な運動療法」が最も効果的です。特に以下の組み合わせが有効:
- 初期:冷却 + 外用NSAID + 活動修正
- 中期:ストレッチング + 段階的筋力強化(特に遠心性運動)
- 後期:肩甲骨・体幹の安定性改善 + スポーツ特異的訓練
保存療法で改善しない場合は、プロロセラピーやPRP注射の追加を検討します。
平均3~8週間で段階的に活動を再開できます。ただし、完全復帰には8~12週間程度を要することもあります。焦った復帰は再発のリスクを高めるため、医療チームのガイダンスに従うことが重要です。
はい、可能です。ただし、以下の工夫が必要:
- 悪化要因となる動作(強く握る、反復的な手首の曲げ伸ばし)を一時的に避ける
- 作業環境のエルゴノミクス改善
- 定期的な休息とストレッチング
超音波ガイド下で行うため、針をしっかり目標部位に誘導でき、比較的痛みは少ないです。ただし、個人差があります。
以下の3つが重要:
- 定期的なメンテナンス(月1~2回)
- 毎日5~10分のストレッチング
- 動作の習慣改善(姿勢、握り方、投球フォームなど)
Genki鍼灸整骨院での
診察の流れ
評価で重視するポイント
1. 症状の詳細な聴取
- いつから? 何がきっかけで?
- どの動作で悪化? どの姿勢で楽?
- 夜間痛(寝ているときの痛み)の有無
2. 局所的な評価
- 内側上顆部の圧痛点の特定
- 関節可動域の制限
- 屈筋強度テスト
3. 全身的な評価
- 肩甲骨の安定性(肩の痛みとの関連)
- 体幹の筋力
- 股関節の柔軟性
- 頸椎の状態(神経症状の鑑別)
4. 機能的な動作分析
- ゴルフスイング、投球動作などのバイオメカニクス分析
- 日常動作での代償パターン認識
Genki鍼灸整骨院が
選ばれる5つの理由
① 医学論文に基づいた最新の治療法
世界の最新エビデンスに基づいた段階的治療プロトコルを実施しています。保存療法で改善しない場合は医療機関と連携し、プロロセラピーやPRP注射に対応します。
② 多因子的アプローチ
肘だけではなく、肩甲骨、体幹、股関節を総合的に評価・治療します。「運動連鎖の正常化」を重視したアプローチを採用しています。詳しくはGenkiの治療コンセプトとプランをご覧ください。
③ 個別化された治療計画
患者さん個人の症状と原因に合わせたカスタマイズ治療を行います。セッションごとに進捗を評価し、計画を調整していきます。
④ 患者教育と自己管理の重視
分かりやすい説明で、なぜ痛むのか、どう治すのかを理解していただきます。ホームプログラムの指導で、自宅での継続的な改善をサポートします。
⑤ 透明性のある治療期間と予後の説明
初回診察時に「あと何回の通院で、いつまでに治るのか」を明確に説明します。定期的な進捗評価で、見通しを常に更新していきます。
関連する肘・腕の痛みについて
ゴルフ肘と類似した症状を呈する疾患があります。診断を確認することが重要です。
類似疾患との区別
- テニス肘(外側上顆炎):肘の外側に痛みがある場合
- 野球肘:投球動作による肘の複合的障害
全身の運動連鎖関連ページ
ゴルフ肘は、肩や腰の問題と関連していることがあります。当院では、関連する以下の症状にも対応しています:
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